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シマニテ・ログ 【タビノタヨリ】LETTERS 05

花と海をめぐる旅

春の源

海風にほどける記憶のようにやわらかく
潮の気配をまとった白い花

その花の名は、大島桜

それは
まだこの世から名を授かる前の
春のはじまりの源泉

大地が辿った歩みと恩恵に導かれ
やがて人の手と想いによって
花開いた
ソメイヨシノという
ひとつの夢

儚さを知るために咲き
ひとときにして空を変えゆくその姿は
島の白き桜が見ていた
遠い未来

淡い春のトンネルは
今年も
私たちをあたたかく抱き寄せていく
ふと立ち止まり、振り返れば
あの雪の日に夢見た
小さな未来を
今まさに歩んでいることを知る

風に散るたび、その花は、
言葉なくして声高らかに語る

春のほんとうのはじまりは、潮騒のそばにあったのだと。