シマニテ・ログ 【タビノタヨリ】LETTERS 17
時代に尽くした一輪の花 神津島編
異国から来た、ひとりの女性。
彼女の名は、ジュリアおたあ。

朝鮮に生まれ、豊臣秀吉の調整出兵をきっかけに
日本へ渡ったとされる。

クリスチャンとして、
自らの信念を胸に生きた彼女は、
やがて、時代の大きな流れに翻弄されていく。
駿河の地から、伊豆網代へ。
大島へ。
そして新島へ。
その先の神津島へ。

海を渡るたび、
彼女の帰る場所は遠くなっていった。
異国から来たひとりの女性。
けれど島の人たちは
国や境遇の違いにとらわれることなく
彼女の言葉に耳を傾けた。
それはただ、
目の前にいる人に寄り添いたい。
その心に目を向けてあげたいという、
あまりにも純粋な気持ちだったのだろう。
それは
海さえも、あらゆる垣根を越えて、
ひとつの心に届いていった
ひとつの心。
神津島には今も、
ジュリアおたあの墓が残されている。

彼女がどこで生涯を終えたのかは、
今もわかっていない。
けれど、
彼女がこの島に生きたことは、
今も島の人の心に残っている。

それは、一人の女性の生きる強さと、
人が人の心に残した、
ちいさな煌めきだったのかもしれない。




